同一年度の3大荒茶品評会すべてで大臣賞を受賞した山東茶業組合の茶。これは前人未到の快挙である。また、2013年に世界農業遺産として認定された「茶草場農法(ちゃぐさばのうほう)」でつくられている。 茶草場農法とは、茶園の畝間にススキやササと主とする刈敷きを行う伝統的農法のこと。この茶草によって茶の味や香りが良くなると言われている。 品種はやぶきた。1953年に登録された品種で日本で栽培されている茶の約75%を占める。漢字では「薮北」と書く。1908年、静岡県の茶農家・杉山彦三郎が自己が所有する竹薮を切り開いた茶園から優良な品種2本を選抜した。薮の北側から選んだ1本を「やぶきた」、南側から選んだ1本を「やぶみなみ」と名付けた。2本の茶樹の実験と観察を続け「やぶきた」が霜に強く従来の品種よりも早い4月下旬から5月上旬に安定して一番茶の収穫ができることが分かった。約50年後、静岡県の奨励品種に指定されたことをきっかけに急速に普及し現在に至る。 じっくりと蒸した深蒸しの茶は、葉がもろく細かい。しかし、長く蒸すことにより、まろやかでコクのある茶に仕上がる。茶を淹れた際に粉末状の茶葉が進出され、これが濃い緑色の水色を生み出す。水に溶けにくい一部の茶の成分は、飲むだけでは十分に摂取できない。この粉末状の茶葉は茶の成分すべてを含んでいるため一緒に飲んでしまうのがおすすめ。
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高温の湯で淹れると香りが引き立ち、低温で淹れると甘みが楽しめる