現在、日本における茶の摘採は、そのほとんどが機械によって行われている。しかし、効率的な機械摘みをあえてせず、手で摘むことにこだわる理由もある。手摘みは、新芽のひとつひとつを目で見て摘む。機械摘みのような古葉や木茎の混入はほとんどないうえ、芽の長さをそろえた生葉を収穫することができる。この茶は見た目がとても美しい。 品種はやぶきた。1953年に登録された品種で日本で栽培されている茶の約75%を占める。漢字では「薮北」と書く。1908年、静岡県の茶農家・杉山彦三郎が自己が所有する竹薮を切り開いた茶園から優良な品種2本を選抜した。薮の北側から選んだ1本を「やぶきた」、南側から選んだ1本を「やぶみなみ」と名付けた。2本の茶樹の実験と観察を続け「やぶきた」が霜に強く従来の品種よりも早い4月下旬から5月上旬に安定して一番茶の収穫ができることが分かった。約50年後、静岡県の奨励品種に指定されたことをきっかけに急速に普及し現在に至る。 手摘みは、一番茶初期の高級な煎茶や自然仕立て茶園、小規模茶園で行われている程度だ。しかし、それでも手摘みが無くならないのは、やはりその品質を多くの生産者、消費者が認めているから。一芯二葉の柔らかい部分だけを摘んだ手摘みの茶は、外観が美しいだけでなくその味もさすがの一言。香り高く味わいや風味も深い。ひとくち飲めば、その豊かで深い味わいに心身が癒される。新緑の美しい茶園の風景を感じることのできる稀な品だ。静岡県、遠州森町の老舗茶問屋ヤマチョウが仕上げた茶園の風景を楽しんでほしい。
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高温の湯で淹れると香りが引き立ち、低温で淹れると甘みが楽しめる